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課題2 保育所
スケジュール・演習風景
設定した敷地の周辺環境の写真 (この敷地は演習のために設定したものです。)
参考となるホームページへのリンク
以下、課題(敷地図省略)です。
建設学科建築系3年生 計画演習T 課題No.2 〔火曜@〜C、金曜BC〕 2001-05-25
課題2 保 育 所 − 乳幼児の発達保障の場づくり −
担当:室ア(078-803-6009)−学籍番号下三桁001〜072/33名
黒田(078-803-6003)−学籍番号下三桁074〜123/33名
北後(078-803-6476)−学生番号下三桁124〜165/30名+編入生+再履修
補助:浅井(078-803-6049)、中江(078-803-6005)
TA:西尾(安田研究室M1)、内平(重村研究室D1)、稲地(重村研究室D1)
提出期限:2001年7月3日(火)午後4時(時間厳守)
提出場所:建築系3年製図室(各自の製図版の上)
乳幼児の発達保障の場、生活空間としての保育所を、神戸市内の市街地に計画、設計する。保育所とはどうあるべきか、子供の生活空間はいかにあるべきかを問いなおし、保育所の望ましい姿、あるべき姿を提案してほしい。
この保育所には、0才児(月齢6ヶ月以上)から5才児までの乳幼児90名が生活する。年齢別の構成は、0才児6〜7名(保母4名)、1才児9〜10名(同4名)、2才児13〜14名(同4名)、3才児16〜18名(同2名)、4才児20〜22名(同2名)、5才児20〜22名(同2名)とし、各1クラス編成とする。
保育時間は、平日、土曜日とも朝の8時から夕方の6時までとする。週6日間(月〜土曜日)の完全給食とし、3才未満児に対しては、昼食(離乳食を含む)と午前と午後の間食を、3才児以上に対しては、昼食と午後の間食を支給する。一日の生活は、乳児と幼児で異なるが、一例として幼児の生活時間を下図に示す。これにこだわらず、より望ましい生活象をイメージすることが期待される。
なお、子供の成長と生活習慣、行動特性などについても、あわせて各自で調査、研究のこと。
1.敷地(1)別図(省略)に示すような、六甲周辺の敷地を想定する。
・ 約5,400u=90m×60m
・ 第一種中高層住居専用地域/建蔽率60%、容積率200%、準防火地域
・ 阪急六甲から東へ約700m、JR六甲道から北東約600mに敷地は位置する。
・ 敷地内のレベル差、道路と敷地のレベル差はともにないものと考えてよい。
(2)児童公園に隣接する平坦地で、周辺は住宅地。
(3)登・下園は徒歩、自転車、または車による。
2.建物概要
(1)延床面積 1,300u前後
(±10%程度の増減可、ピロティ等は参入しない)
(2)RC造、鉄骨造、または、木造(準耐火建築物)
(3)階数/自由
3.所要室
(1)保育部門(850u)
・ 0才児室 ------- ベッド、食事、ほふく、着替えの各スペースを確保する。 100u
(1クラス) 調乳室、汚物処理室(洗濯室)、沐浴室等を含む。
・ 1〜5才児室 --- 乳児室には、畳のスペースを設ける。------------------ 各60u
(5クラス) 準備室、保母コーナーを含む。
・ プレイルーム(遊戯室)---- 倉庫、または、遊戯置き場などを併設する。--100〜200u
・ その他(食堂、サンルーム、工作室、音楽室、居残り室、便所、準備室、器材庫など)適宜
(2)管理部門(350u)
・ 職員室 ---------- 職員は20人程度(主任保母1名、保母18名、事務員1名)-- 60u
他に、保健婦1名、用務員1名、パート保母数名がいる。
印刷・放送室(10u)、教材庫(5〜10u)、湯沸室を含む。
・ 園長室・応接室 ------------------------------------------------------- 20u
・ 図書・会議室 ----会議スペースは独立性を保つこと。(20〜30u)------------ 50u
・ 医務室 ---------- ベッド1床、薬品棚、身体検査用計測機器などを設置 ---- 10u
・ 休養室・---------- 休養室は畳 orカーペット敷。作業室とは間仕切等で区切る。-60u
作業室 男女更衣室(15u)、浴室orシャワー室・洗濯室(10u)、
及び、湯沸室などを含む。
・ 給食室 ---------- 調理人5名、給食事務員(栄養士)1名 ----------------- 50u
調理室・配膳室・食品庫(30u)+ 炊事休憩室等(20u)
・ 用具室、倉庫 --- 数ヶ所に適宜設ける。 --------------------------------- 30u
・ その他(用務員室、屋外倉庫等) ----------------------------------------- 適宜
(3)その他 (100u)
・ 玄関ホール ----- 上下足の履き替え線の設計を工夫する。------------------- 適宜
保護者の溜り場を設けるなどしてもよい。
・ 受託コーナー---- 登園時に検温、おむつ交換、保母との情報交換を行う場所---- 50u
各保育室に接するよう分散して設け、着替えを入れる棚などを
設ける。(保育室側からも棚が使えるようにするとよい。)
・ 電気・機械室 ---------------------------------------------------------- 30u
・ 廊下・職員便所など ------------------------------------------------- 以下適宜
・ 三輪車、乳母車置き場(屋外に設ける場合は屋根付きとする。)
・ 自転車置き場、駐車スペース(職員・外来・サービス用各1台)、サービスヤード
・ 足洗い場、水遊び場、屋外テラスなど
所要室およびその面積は一応の目安であり、積極的・ユニークな提案を試みようとすれば、記と大きく異なることも可能である。ただし、延床面積の変更は原則として許されない。
4.提出図面
・ 配 置 図 1/200 建物本体については屋根伏図で示すこと。
・ 各階平面図 1/100 一階平面図には、外部空間の計画を明示のこと。
・ 立 面 図 1/100 2面以上。
・ 断 面 図 1/100 設計意図のわかる断面を1面以上。
・ 外観透視図 着色仕上げ 用紙は異なってもよいが、図面にはりこむなどして提出図
orスケッチ 面のサイズは統一しておくこと。模型写真可。
・ 図面作成上の注意
(1) 空間の境界部分は、開口部(扉、窓)、壁、間仕切といった図面表示を明確に示す。平面図・断面図には方位、寸法を記入。
(2) 平面図には、机・椅子など必要家具を記入する。(乳幼児の生活スケールを理解するため)
(3) 外部空間計画には、遊戯・砂場・植栽などの配置を具体的に示すこと。
(4) 各ゾーンの面積表を作成し、表示すること。
(5) 図面レイアウトや、レタリングにも十分気を配るとともに、各自の設計意図がわかるように表現を工夫する。たとえば、設計主旨(400字程度)や機能・動線図(児童、職員、保護者の動線を色分けし、パターン図として表現したもの)などを図面の適当な場所に入れる。
5.用紙 A1ケント紙(仕上げ自由)
6.スケジュール
5/25(金) 課題説明、事例収集、実例見学、敷地・周辺環境の分析
5/29、6/1 上記準備作業+エスキース 6/5、8 エスキース
6/12(火) 1日設計(10:00開始〜15:00締切、その後、チェック、返却)
6/19 エスキース 6/22 最終案作成 6/26、29 図面作成
7/3 (火) 16:00提出・チェック(製図室)
7/6 (金) 講評会(詳細は追って掲示)
7.保育所建築の計画にあたっての諸注意
保育所建築は、子供と保育者が集団で日常的な生活の営みを行う場であり、「福祉の住居」という考えの延長線上の施設として認識すべきものである。単に建物として優れた造形を追求するばかりではなく、住居としての親しみと安らぎのある安定性を持たねばならない。すなわち、
(1) 屋内と屋外は屋根のある保育室と屋根のない保育室と考えて、テラスなどで有機的につなぎ、保育延長空間として屋外空間を設計・計画する。また、その際、上下足の履き替え問題についても充分考慮しておく。
(2) 門から玄関までは、ある程度の距離を持たせ、ベンチを設けるなどにより、保護者同士の語らいの場、溜り場として、余裕のある空間とする。
(3) 建物と樹木、草花や遊具、砂場との組み合わせは、環境の構成要素として総合的に計画すべきである。時として、時間不足のためか、無造作に植栽記号などを描く者が見られる。それぞれ一体的な設計として理解し、安易な態度でのぞまないこと。
(4) 乳幼児期は、子供の生活習慣、行動能力の点で、年齢によって顕著な違いが見られる時期である。「寝る」、「遊ぶ」、「食べる」といった生活における、それぞれの発達段階に応じた、空間スケール、設備計画について、充分な理解が必要とされる。
(5) 保育所建築の特徴は、子供たちと保育者の心の通うような物理的環境をつくることにある。そのためには、どこに居ても、何をしていても、お互いの生活が掌握できるような室のつながり、ディテールへの配慮、必要な設備が要求される。
(6) 保育は原則的にクラス単位でおこなわれるが、子供同士、あるいは保育者同士の安定感をこわさないよう、保育所内における相互の交流についても配慮する。
(7) 乳児室については、それぞれ専用の庭を部屋の延長として設け、上足または素足のまま遊べるよう芝張りにするなどを考える。0才児でも月齢が上がれば、戸外遊び空間が重要となる。また、乳児室の場合、月齢にもよるが、すべり台などの遊具を室内に持ち込んだ動的な遊びと、ままごとごっごなどのような静的な遊びや、時には食事、就寝さえもが保育室内で同時に展開されることが多い。こうした多様性に対応しうるような空間的な仕掛けを考えねばならない。
(8) 保育室だけで、一日中の生活のすべてを行うのではない。特に幼児に対しては、機能別にいろいろな部屋(工作室や音楽室などのプレイスクール)を設け、それらも保育の場として利用できるように、建物全体を「子供の家」として設計する視点が重要である。場合によっては廊下などを保育室の延長空間と考え、アルコーブなどを設けて、広くする事なども有効であろう.
(9) 保育者の心身の健康を考慮して、専用の休憩室および、バス・トイレ・シャワー、洗濯室などの設備を充実させなければならない。また、これらは大人のスケールで余裕をもって設計する。
(10) 建物の色彩、造形については、大人の感覚で子供らしいと感じるものをそのまま安易に用いることは避けること。